IT先進国・韓国の不都合な現実。なぜスマートホームは使いにくいのか
UPMI Labの生成AIによる概念画像。実際の現場写真ではありません。画像内の文字は原版の韓国語を含みます。

SamsungとLGという世界的な家電企業を持つ韓国では、消費者は多くの製品から選べる。しかし、それらを一つの家でつなごうとすると、選択の自由は狭まる。エアコンはSamsung SmartThings、別の家電はLG ThinQ、照明と暖房は集合住宅の壁付け操作パネル。製品は同じ空間にあっても、制御の仕組みは企業や設備の境界で分かれている。

アプリを切り替えて一つずつ操作すればよい、という考え方もある。しかしそれだけなら、壁のスイッチや手元のリモコンをスマートフォンの中へ移したにすぎない。遠隔操作は便利になっても、暮らしに合わせて機器が一緒に動く自動化には、なお距離がある。

この隔たりを埋める担い手として、消費者自身が現れ始めている。メーカーの対応を待ったり互換製品を買い直したりする代わりに、AIエージェントと既存機器をつなぐプログラムを作る。UPMI LabのHomeKit統合事例は、家電の性能競争の陰にある接続の問題と、それを自ら解き始めた消費者の変化を示している。

製品を選べることと、つなぎ方を選べることは違う

同じブランドでそろえると登録や管理が容易になるのは、プラットフォームの利点だ。一方で、次に買う製品も、使っているアプリとの互換性を優先して選ぶことになる。冷蔵庫やエアコンの性能より、どのエコシステムに入れるかが先に問われるなら、ブランドをそろえることは好みだけでなく接続の手間を避ける選択になる。

集合住宅の設備は、消費者が最初から選ぶことも難しい。入居前に設置された操作パネルと、照明、暖房、換気の制御系を暮らしの前提として受け入れる。別途購入した家電やスマートロックを加えると、一つの家に三つ、四つの制御系が重なる。UPMI Labが統合した住まいも、そうした構成だった。

不便の核心は、アプリのアイコンの数ではない。同じ部屋の冷房と暖房さえ別の仕組みで管理され、換気や照明を一つの生活条件で動かそうとするとつながらなくなることだ。個々の製品が賢くなっても、家全体の調整は人の仕事として残っている。

開放の宣言と、すでに建っている家との距離

メーカーが相互接続に取り組んでいないわけではない。SamsungとLGは2023年、HCA規格に基づくブランドをまたいだ家電連携を発表した。Matterも異なる企業の機器をつなぐ共通規格だ。両社が自社製品の接続だけに固執していると断定すれば、こうした開放への取り組みを見落とす。

問題は、新しい規格の登場と、設置済みの機器が対応することは同じではない点にある。Matterを運営するCSAも、既存製品の対応は機器の技術条件とメーカーによる更新の提供に左右されると説明している。新規格の製品が増えても、古い家電や操作パネルが自動的に同じ言葉を話すわけではない。

正常に動く機器を互換製品に替えれば、問題の一部は減らせる。しかし費用をかけても、集合住宅の共用設備との連携は別に残ることがある。つながらない問題を解消する費用を、すでに製品を購入した消費者がなぜ再び負担するのか。市場が答えるべき問いだ。

これは、互換性を企業の善意や個々の消費者の技術力だけに任せられないということでもある。開放の成果は対応ブランド数だけでなく、販売済みの製品をどれだけ長くつなぎ、使い続けられるかでも評価する必要がある。

AIエージェントと作った、第三の選択肢

UPMI Labは既存機器を残し、接続方法を自ら作った。NASで動くプログラムが異なる装置の信号を受け、Appleホームで扱える状態や命令に変換する。AIエージェントは通信の分析、コードの作成、修正、動作確認を支援した。

照明、暖房、換気は、壁付けパネルの通信を観察することから始めた。照明を一つ点灯したり温度を変えたりした際に変化する信号を比較し、命令と状態を区別した。Matter非対応のSamsung製エアコンはSmartThingsの開発者向けAPIで接続した。異なる経路の冷房と暖房を、Appleホームでは同じ部屋の操作メニューにまとめた。

共用玄関への手掛かりは、キッチンのモニターにあった。そこでも呼び出しを受け、解錠できるなら、必要な信号はすでに届いている。その考えから、モニターへ入る制御線と映像経路を分けて接続し、NASでAppleホーム向けに処理した。照明、冷暖房、換気に加え、玄関の映像と住戸・共用玄関の制御も一か所にまとめた。

利用者が選んだのは新しい家電一式ではなく、家を動かす方法だった。メーカーが決めた製品の組み合わせに代えて、手元の機器と自分の必要を基準にシステムを構成したのである。

使う人が、作る人になる

消費者が機器を自らつなぐ試みは、AI以前にもあった。Homebridgeのような公開ソフトウェアや利用者コミュニティが基盤を作ってきた。ただし通信を読み解き、プログラムを直し、障害を解決するには、相応の時間と知識が必要だった。

AIエージェントは、この作業への参加方法を変える。利用者が望む動きや不便な状況を説明し、エージェントがコードや設定に移す作業を手伝う。人が結果を試し、修正の方向を伝えると、次の作業につながる。希望を説明する力が、実際のシステムを作る過程に近づいている。

もちろん、この事例にも機器を理解し、結果を検証する運用者の経験があった。AIがすべての技術的障壁をなくしたとはいえない。それでも、製品選びにとどまっていた消費者の役割が、機能を設計し修正する領域へ広がる可能性は見える。

消費と生産の両方に参加する「プロシューマー」の姿だ。ここで作るのは冷蔵庫やエアコンそのものではない。自分の家で製品が一緒に動くための規則と接続構造である。ブランドが提供する体験を受け取っていた人が、その体験を設計し直し始める。

スマートホームの基準を、住む人が問い直す

家が統合されれば、自動化の基準も製品から生活へ移せる。暗くなれば居間の照明をつけ、夏の帰宅時には冷房と換気を同時に始め、就寝後は室内外の温度を比較して冷房を調整する。メーカーが異なっても、住む人にとっては一つの生活場面だ。

UPMI Labで実装したのは、機器の統合と空気質センサー値の収集・表示までだ。複数の条件を自然言語でまとめるローカルAI制御や、省エネルギー効果は今後の実装・検証課題である。Samsung製エアコンの接続には、現在もSmartThingsのクラウドが必要だ。消費者主導の統合も、メーカーのサービスと既存技術の上で動いている。

それでも変化の意味は小さくない。メーカーの次の更新を待つほかに、自分で作り、直す選択肢が生まれたからだ。選択肢が広がれば、企業も利用者を自社プラットフォームにとどめる力より、望む接続をどれだけ支援できるかで評価されるようになる。

家は、複数ブランドの製品を展示するショールームではない。住む人の生活が続く一つの空間だ。IT先進国・韓国の次の競争力は、より多くの機器を「つながった」と呼ぶことだけにはない。その接続を誰の必要に合わせ、誰が変えられるかにある。AIエージェントと家の動かし方を設計した消費者は、その問いに新しい答えを示している。

実装資料部品、配線、構築の過程を見る(韓国語) →
資料・出典

UPMI Labの実装記録とメーカー・標準化団体の公開資料に基づく分析・論考。プロシューマーや市場の変化に関する評価は編集部の解釈です。UPMI LabとNew Epoch Journalは、いずれもUPMI Co., Ltd.が運営しています。

AIを資料整理と執筆に活用し、公開前に根拠を確認しています。 編集方針 →